「ハーフソール」修理に挑戦!紳士靴の基本「ハーフソール」は靴を長持ちさせる秘訣です
はじめに
ハーフソール修理は靴を長持ちさせ、滑りにくくするための技法です。靴は歩いているうちにすり減るものですが、お気に入りの靴を長持ちさせたい、そう思う方も多いはず。特に今回は紳士靴に焦点を当てて紹介しますが、スニーカーでも同じことが言え、すべての靴に通じるものです。今回はハーフソールで補強を行うことでどのようなメリットがあるのか、どんなタイミングで修理に出せばよいのかを紹介していこうとおもいます。
ハーフソールとは
ハーフソールとは、ハーフ(半分)のソール(靴底)のことを指します。半張りという方もいらっしゃいます。靴底の中でも半分を補強してやることで、簡単に長持ちさせることができます。基本的にはゴムのものがほとんどですが、革を張る場合もあります。厚みやデザイン、色、素材などの違いがあり、靴のデザインに合ったハーフソールを選ぶことができます。
ハーフソール修理のプロセス
今回はこちらのお靴にハーフソール修理を施していきます。新品のお靴ではありますが、新品のうちから出すことで、本体の傷みを最小限にして履き続けることができます。もちろん履いたあとの靴でもハーフソール修理を施すことはできますので、気にせずご相談ください
ハーフソールの場所を準備
靴に直接当てながらバランスの良い場所を考えます。少しセンスが問われる場面で緊張する部分でもあります。場所の選びかたですが、もしある程度履いた靴であればすり減っている場所がわかりますので、そのすり減り部分が基準になります。
あとはくびれの位置と、コバ(靴底の側面)の形状によって当たらないようにしたり、全長の半分もある程度の基準になります。
これらを総合的に判断して場所を決めます。
ハーフソールの場所を削ります
あんなにきれいだった新品の悲しいお姿です。悲しいけれどしかたありません。
新品の綺麗な面は、油を塗っているような状態なのでそのままボンドを付けてもはじいてしまいます。そのため面をある程度荒らすことでボンドを浸透させて引っ付きやすくします。
今回の靴はつま先がウレタンになっているため、プライマー(下処理剤)を事前に塗っておき接着力を強めます。
プライマーの乾燥時間も必要になるため、修理には時間を要するパターンです。
プライマーをさぼると後々ハーフソールが剥がれる原因になりますので、このひと手間を惜しまないことが大切です
ハーフソール貼り付け!
ハーフソールをボンドで貼り付け、無駄な部分を切り落とします。
貼り付けの前にはプライマーの次はボンドの選び方があり、乾燥する時間や温めたりとタイミングがあります。すべてはしっかりくっつけるためです。
ハーフソールのコバ仕上げ
無駄な部分を荒断ちしたあとは、綺麗に仕上げを行います
本底とどれだけ一体化しているように見えるかどうか、がポイントです
一体化しているように見えるということは隙間なく引っ付いてるということになり接着強度の心配も少なくなります
コバ仕上げには、専用の削りマシンで粗削りから細かい削りまで、最後に手やすりで精密にさせていきます
あとにはインクやワックスで細かい仕上がりを調整しつつまとめていきます
最後はほこりなどを落として完成です!
ハーフソール修理をするメリット
ハーフソールをなぜするか?
・長持ち
ハーフソールは貼って、ハーフソールを繰り返し交換していくことで本体は削れないように長く履くことができます
・滑りにくい
高級な革靴とかツルピカきれいすぎて滑ったりの靴もあります。
滑りにくさは怪我の予防にもなりますので、大切ですね!あと、滑って転ぶととても恥ずかしい!
・高さの補強
ハーフソールを貼らずに長く履いた靴は偏ってすり減りしますので、ある程度の高さでしたら、バランスの調整をすることができます
・カスタム・かっこよさ
好きなソールと選ぶことでオリジナルの靴を味わうことができます。フォーマルとアウトドアの組み合わせなど遊び心を持たせることもできます
ハーフソール修理のデメリット
・レザーソールのロマン・かっこよさがなくなる
高級靴には例外なくレザーソールが使用されているように、レザーソールにはレザーソールの美しさがあります
今回もそうですがメーカーがこだわったデザインを削りおとすことになりますので、ブランドを大事にする方は悲しい思いをすることになります
・吸湿性を損なう??
革には吸湿性があり、レザーソールのみのほうが蒸れにくい、という意見があります。実際に数値を計測したのか知りませんが。。。
私意見としては、ほとんどの靴にはボンドが塗られているので靴底方向の透湿性はないと思っています。
ハーフソールを出すタイミング
オススメは新品のときです!
あとはいつでもOKです。「滑るな。」と思った時もタイミングかもしれません。
逆に悩むところは穴が開いてしまった靴です。穴が開いている靴は基本的にオールソール交換をオススメしています。穴が開くまで履いた靴は中のコルクやクッションにも確実に影響を及ぼしているのでまるごと交換したほうが良いです。ただどうしても予算をかけられないという方にはお受付させていただいます。
まとめ
ハーフソールはメリットが多いので、やっぱりオススメです。特に滑る靴は怖いので必ずハーフソールを取り付けたほうが良いでしょう。
お気に入りのハーフソールが見つかると、リペアも楽しくなります!